あなたが何気なく使っている日本語。実は日本語ではないかもしれません。
何言ってんの?と思いましたか?
僕も急に唐突に言われると同じ感想を持ちます。
でも、実は日本には9つの独立した言語があるとも考えられているんです。
言語と方言の区別は曖昧

日本でも関西弁、博多弁など多くの方言があります。
もしかしてこれらの方言を言語と言ってるの?と思うかもしれませんね。
しかしそれらは、あくまでも方言。
それでは、「言語」と「方言」の違いとはなんなのでしょうか?
相互理解
言語か方言かの違いの1番分かりやすい違いは、相互理解です。
例えば、英語だけを話す人と日本語だけを話す人では、お互いの言葉が理解できませんよね。
そのため、この2つは言語。
一方、関西弁を話す人が、東京に出てきて生活に困ることはあるでしょうか?
おそらくないでしょう。
これは、関西弁が日本語の一般的な文法や語彙に大きな違いがなく、理解される言葉だからです。
津軽弁と薩摩弁は全く違うじゃん!という人もいるでしょうが、方言はグラデーションのように変化していきます。
例えば、僕の出身は長崎ですが、お隣の佐賀や熊本の方言はほぼ理解できます。
ただ完璧には理解できません。
お隣の方言でも伝わらない部分はある、そしてさらにそのお隣の佐賀と福岡でも通じる方言とそうでない方言があるでしょう。
ということは長崎と福岡では、通じない部分もより多くなります。
津軽弁と薩摩弁は地理的にもかなり離れているので、通じない部分は多いでしょうが、これh極端な例にすぎません。
政治的要因
次に政治的要因。
方言じゃないの?と思えるぐらい似ている言葉でも、それぞれ「言語」として扱われることがあります。
例えば、マレー語とインドネシア語。
僕はマレーシアに留学していましたが、インドネシアからの留学生も多くいました。
インドネシア人留学生とマレーシア人の会話を聞いていると、マレー語とインドネシア語で普通に会話しています。
これって相互理解できてますよね?
しかし、これらは方言ではなく「言語」です。
これらの言語の起源は同じ「マレー語」ですが、マレーシアはイギリスの植民地、インドネシアはオランダの植民地でした。
そのため発音や借用語に違いが生まれ、かつ異なる国で話される言語でもあったので、それぞれを「言語」としてみなしています。
言語学者のマックス・ヴァインライヒは次のように述べています。
言語は陸軍と海軍を持つ方言である。
この一言は、言語と方言の違いを実にうまく表現しているような気もします。
日本は9つの言語が存在する国?
ユネスコは、日本語は9言語存在し、そのうち8言語は消滅の危機に瀕している、と発表しました。
その8言語はアイヌ語,八丈語,奄美語,国頭語,沖縄語,宮古語,八重山語,与那国語。
これに日本語を加えた9言語が日本の言語数とされています。
なんとなく、先ほどの政治的要因で分類されているような気がしますね。
アイヌは北海道地方の先住民で、沖縄はもとは琉球王国という一国。
琉球王国の言葉が派生して奄美語や宮古語が生まれたと考えれば、なんだか納得できてしまいます。
語族という考え方

さて、言語を考える時、よく使われるのが「語族」という考え方です。
ヨーロッパの人は多言語話者が多いのは、それぞれの言語が似ているからだ、と聞いたことはありませんか?
この似ている言語の集まりを「語族」と呼びます。
ここでは2大語族と呼ばれる2つのみ簡単に触れておきます。
インド・ヨーロッパ語族
ヨーロッパの多くの言語がこの語族に属しています。
さらに、「ゲルマン語派」「ラテン語派」「スラブ語派」に分類。
ゲルマン語族には、英語を筆頭にドイツ語やオランダ語、ラテン語派にはフランス語、イタリア語、スペイン語、スラブ語族にはロシア語などがあります。
アフロ・アジア語族
西アジアと北アフリカに主に分布する言語で、ヘブライ語やアラビア語など日本人にはあまり馴染みがない言語がこの語族に属します。
ヘブライ語もアラビア語も宗教的に重要な言語。
そのため、これらの話者数もかなりの数がいます。
日本語はどの語族にも属さない?
多くの言語は、その起源が解明しているため、〇〇語族に分類されます。
しかし、日本語はその起源は不詳とされています。
多くの言語が、同じローマ字やキリル文字など似たような文字を持つのに対して、日本語は唯一無二。
漢字は中国語から借用していますが、ひらがな、カタカナはどの言語にもない文字です。
主要な語族は現在6つとされています。言語を習得する際、一つだけじゃ物足りないなぁ、という人は同じ語族の言語であれば、似ている点も多いため、習得しやすいと言えるでしょう。
独特な言語たち
最後に現存する独特な言語を紹介します。
世界って広いなぁ、と実感していただけるかもしれません。
人工言語
僕たちが話す言語は、古くから話されてきた言語です。
しかし、人工的に作られた言語というものがあります。
それが、人工言語。代表的なものは「エスペラント語」
この言語は、1887年に考案された言語で、200万人の話者がいるとも言われています。
他にも人工言語は存在しますが、本来の言語が持つ歴史が欠如しているため、なかなか広まらないそうです。
口笛言語
スペイン領カナリア諸島の一部で使われる言語に「シルボ」という言語があります。
この言語はなんと言葉ではなく口笛で意思疎通を図るんだそうです。
その目的は、遠くの人に意思伝達をするため。
実際、大声よりもさらに10倍離れたところにいる人まで伝えられるんだそうです。
3種類の文字を使い分ける言語
あれ、日本語以外にそんな言語あるの?と思ったそこのあなた。
そう最後に紹介するのはあなたの母国語、日本語です。
僕たちが話す言語は他の言語にはない特徴を持っています。
3つの文字に加えて、「Tシャツ」のようにアルファベットも織り交ぜた言語すら存在しますよね。
これが日本語が世界的にみても難しい言語と言われる理由です。
言語は方言とも言えるし、方言は言語とも言える…つまり曖昧!!
繰り返しになりますが、言語と方言の定義はとても曖昧。
そこで、語族という分類分けを使うことで、兄弟言語が分かってきます。
人類が言語を話すようになってから10万年とも言われていますが、言語が生まれた当時の音なんて想像もできませんよね。
10万年というかなりの年月をかけて、現在は世界中に7000を超える言語が共存。
さらにこれまでに、消滅してしまった言語も無数にあるでしょう。
方言も言語もその裏には壮大な歴史が隠れているはず。
言語を勉強する時には、ぜひそういった背景まで考えてみてください。